土地と家を購入する際、保険や税金をはじめとする、さまざまな費用が発生します。そうした細々とした「その他費用」は、まとめてみると意外に大きな金額になっています。
後で慌てないためにも、資金計画を立てる前に家と土地の購入費以外にどのような費用が必要なのか把握しておきましょう。費用の総額は家を建てる地域や加入する保険などにより大きく変動するため、何にどの位の金額が必要なのか自分で確認することが大切です。
この記事では新しい土地を購入し「ジブンハウス」を建てる際に、どのようなその他費用が発生するのか解説します。
一般的に、住宅を建てる際に必要な費用の内訳は大きく分けて以下の4つです
● 本体工事費用
住宅の建物を建てるための費用です。
地盤と建物をつなぐ基礎工事から、断熱材の取り付け、空調工事、住宅設備の工事などが含まれます。
● 付帯工事
住宅の建設以外にかかる費用です。庭や駐車場の工事費などが含まれます。
● その他費用
保険費用や税金、また住宅ローン関連の費用などが含まれます。
その他費用の内訳は多岐にわたるため、次より詳しく解説していきます。
注文住宅を建てる際にかかるその他費用は、土地の購入費 + 住宅の建築費用の10%〜12%前後が目安といわれています。 しかしあくまで目安のため、実際の総額はさまざまな要素で上下します。
「ジブンハウス」を建てる際に必要なその他費用は以下の通りです。
● 保険関係
● 上下水道関係
● 地鎮祭・上棟式など
● 引っ越し費用
● 借入関係費用
● 税金
● 不動産取得税(地方税)
● 住宅ローン事務代行料
それぞれくわしく解説していきます。
下記3つの保険への加入に伴い、費用が発生します。任意加入の保険もありますが、どれもが住宅に何かがあった時に備えて入る保険です。
● 火災保険
● 地震保険
● 住宅瑕疵担保責任保険
・火災保険(火災保険料)
火災による住宅や家財の損害を補償してくれる保険です。 金融機関から融資を受ける場合は加入が義務付けられています。
また「火災」とありますが、火事だけではなく落雷、風災、雪災、盗難なども火災保険の対象になります。
また、新しく土地を購入する際は、自治体が発表するハザードマップを確認しましょう。ハザードマップでその地域の自然災害リスクを確認し、別の保険にも加入すべきか検討してください。
たとえば、過去に大きな水害があった土地であれば、水災に備えた保険に入っておくと安心です。
火災保険で水災被害がカバーされる場合もありますので、事前に補償範囲を確認しておきましょう。
・地震保険
地震をはじめ噴火や津波など、自然災害を原因とする住宅の損壊などに対し補償が受けられる保険です。火災保険と違い、金融機関から融資を受ける際地震保険への加入は多くの場合任意です。
・住宅瑕疵(かし)担保責任保険
住宅瑕疵担保責任保険とは、住宅に欠陥(瑕疵)があった際、その欠陥の修繕費用を補償してもらえる保険です。
保険への加入手続きや保険料の支払いは基本的に住宅事業者が行います。しかし、保険料は住宅の購入価格や工事費用に含まれるため、最終的に購入者が保険料を負担することになります。保険に加入すると、万が一住宅会社が倒産しても補修費用が受け取れます。この保険への加入は任意です。
・上水道分担金(役所納金)
上水道分担金とは、水道の新規設置または既存の水道の口径を増やす際に、自治体(水道局)へ納付するお金です。地域によっては納付不要な場合もあります。また、納付金額は各自治体によって異なります。
・下水道受益者負担金(役所納金)
下水道受益者負担金とは、公共下水道が整備されることにより利益を受ける区域内に住む住民が、下水道の建設費の一部を負担するお金です。毎年かかる費用ではなく、支払いは1度限りです。
また、他にも水道周りで下記のような出費が考えられます。土地によってはほぼ費用がかからないこともあれば、数十万単位の費用が必要になることもあります。事前にしっかり確認しておきましょう。
・水道の引き込み工事費用
購入した土地に水道管が引き込まれていない場合、引き込み工事に伴い発生する費用。
・コンクリートガラ(道路から剥がしたアスファルトの廃材)の撤去費
土中に埋まっているコンクリートガラなどの産業廃棄物を撤去する費用。
・境界ブロック設置費用
隣地や道路との境界をあらわす「境界ブロック」の設置費用。
・地盤改良費
地盤を頑丈にするための工事。土地を調査してみないと工事が必要か分からず、工事費用も事前には分かり得ないため、予想外の出費になりがちです。土地によりますが工事が必要な場合は、50万〜200万の高額な費用が必要なこともあります。
新たに家を建てる際、古くから受け継がれてきている「上棟式(じょうとうしき)」と「地鎮祭(じちんさい)」と呼ばれる儀式が任意で執り行われます。地域の慣習や宗教によって儀式の内容や、予算が異なります。
● 上棟式…家の骨組みが完成した際、職人や工事関係者への労いと残りの工事の安全を祈るための式典。
主な支出…儀式の設営費、職人や関係者への礼金、その場で軽い飲食をする場合は 飲食代など。
● 地鎮祭…工事前に土地の神様に安全を祈願する神事。神社から神主さんを招き、儀式を開催するのが一般的。
主な支出…神主さんへの礼金、儀式の設営費、お供え物など。
家の引っ越しにかかる費用は依頼する引っ越し業者や、荷物の量・時期によって変動します。業者によって金額が異なるので、すぐに業者を決めるのではなく複数の業者から見積もりを取り金額を比較しましょう。
住宅購入資金を借り入れる際、主に下記の費用が発生します。
・印紙税
契約書や領収書などの文書作成に対して課税される税金。
・抵当権設定登記費用
金融機関から住宅資金の融資を受ける際に必要な抵当権を登記するための費用。
・借入事務手数料
金融機関から住宅資金の融資を受ける際に支払う手数料。
・生保団信特約料(団体信用生命保険特約制度)
住宅ローン返済中に契約者が死亡してしまうなど、万が一のことがあった時に住宅ローン残高がゼロになる保険。金融機関から住宅資金の融資を受ける場合、加入を義務付けられることが一般的。
・借入保証料
万が一、本人が返済不能になった場合に本人に代わり保証会社が残りの債務を全額返済してくれる保証。
・完成保証料(完成保証登録料)
建設中に万が一建設会社が倒産し工事が中断してしまった際に、最小限の追加費用で住宅を完成させられるようサポートしてくれる保証。■ 住宅ローン事務代行料
新たに土地や建物などを所有した時に納める税金。
住宅ローンを組む時の手続きを代行してもらった場合にかかる費用。
家を建てる際に予想外の出費が重なり「思っていたより遥かに多くのお金が必要だった」と驚く人も少なくありません。さまざまな手数料や分かりにくい費用も多く、当初の資金繰り計画通りにいかない場合がほとんどです。
ここからは、家を建てる際に盲点となる出費例を紹介します。事前に必要な費用をしっかり把握し、予算オーバーを回避しましょう。
・仮住まいの費用
建て替えの場合、仮住まいの入退去にまとまった費用が必要です。その上、短期間の賃貸を前提にした不動産サービスが少なく、仮住まい用の物件を探すのに時間がかかる場合もあります。物件が見つかっても入居期間が短過ぎるため、退去時に違約金が発生するケースがほとんどです。
・家のインテリア費用
マイホームのインテリアはこだわりたいもの。初めてのマイホームであれば尚更です。しかし、好みのインテリアを勢いで購入してしまうと「予想外に出費がかさんでしまった..」と後悔することになりかねません。住み始めてから徐々に買い足すほうが、結果的に節約につながるでしょう。
・家の修繕費用
家を建ててからの出費として覚えておきたいのが、家の修繕費です。マンションの修繕積立金のように積み立てる訳ではないので、自分で意識して積み立てておく必要があります。約10年スパンで大きな修繕(バルコニー防水や給湯器等の設備交換)が発生するので、修繕に備えて貯蓄しておきましょう。
・手付金
手付金とは、住宅を確実に購入する意図を示すため、購入費用を先払いで一部支払うというものです。手付金は、売主と買主のあいだでの約束と誠意を示すためのお金ともいえます。
必要な手付金の額は、購入する住宅の総費用によって異なりますが、相場は物件費用の5%程度です
土地、家の購入にはさまざまな費用が発生します。後から慌てないためにも、事前に必要な支出を洗い出し、堅実な資金計画を立てましょう。