2024年に開催したエディショングランプリ※で最優秀賞を受賞したプランを商品化した「1211FⅡ」。実際に住まわれているお客様の間取りを規格住宅として全国展開する今回のプロジェクトは、西依建設株式会社と共創して、仕様やVR表現など細部までこだわって開発を進めました。
1211FⅡの開発ストーリーと間取りのこだわりを、西依建設とジブンハウスの両デザイナーを中心に座談会で語り尽くしました。その内容を前編・後編に分けてお届けいたします。
※エディショングランプリとは・・・
2024年に開催したジブンハウス加盟店を対象にした全国大会。ジブンハウスをベースにアレンジした間取り【エディションプラン】の中から、コンセプト、居住性、再現性などを評価・表彰しました。
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登壇者紹介
島田 JIBUNHAUS.株式会社 プロダクトマネージャー
池田 西依建設株式会社 一級建築士/デザイナー
外輪 西依建設株式会社 広報
西依 西依建設株式会社 代表取締役社長
内堀 JIBUNHAUS.株式会社 代表取締役社長
松丘 JIBUNHAUS.株式会社 プロモーションマネージャー/広報
司会/松丘
まずはエディショングランプリ受賞の振り返りから。改めて、受賞時の評価ポイントと感想をお聞かせください。
◆島田
ジブンハウスの既存商品である1211Fの大枠は変えず、裏動線や収納、畳コーナーなど、機能や空間を追加・差し引きしながら、ジブンハウスのもともとの商品をさらにブラッシュアップされていること。それによって新しい価値が生まれている点がポイントでした。
◇池田
間取りのアレンジにあたって、ジブンハウスのベースがあるので、そこを自由に触ってしまうのは違うかなと考えていました。もともとの形を極力崩さずに、1211Fの良さを生かした状態で、K様(エディショングランプリ最優秀賞のプランにお住まいのお施主様)の要望を入れ込んだものが評価ポイントとして見てもらえたので、非常にうれしかったですね。
写真左:池田 右:島田


司会/松丘
K様のプランニングの際、どのようなことをポイントにして1211Fのアレンジを進めたのでしょうか?
◇池田
ベースとなった1211Fの特徴として、水回りの配置が挙げられます。玄関を入ってすぐにトイレがあり、真ん中にキッチンがあり、その奥に浴室関係がある。この配置は基本として崩さないでおこうというのがまず一番にありました。
加えて、廊下がなく、LDKと居室が直接つながっている点も特徴的です。この2点は崩さずに、ということを考えながらデザインしました。
司会/松丘
特徴的な回遊動線=“ただいま動線”は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?
◇池田
実は最初は、ただいま動線がない間取りだったんですよ。ベースは崩さないようにと考えていたので。でもK様と打ち合わせをしていく中で、動線へのこだわりをすごく大事にされていると感じました。
「思い切ってやってみるか!」と切り替えて、それからトイレ周りの動線をめちゃくちゃ描いたんです(笑)。何パターンも描いて、できあがったものに対して、また畳コーナーの配置で何パターンか追加して……。
最終的には、トイレの配置を外壁から離すことで、裏に一直線の動線がきれいにはまって形になった、というところです。
司会/松丘
K様邸のベースがあって商品化していくにあたって、ジブンハウスとして意識したことやこだわったことを教えてください。
◆島田
大前提として、K様邸を大きく動かさない。そして、規格住宅として全国で建てていただけるようにしていく。そのためには、やっぱり土地との関係性をいかに汎用性高くまとめるかを考えていかないといけないので、いかにベースプランのコンセプトや、それぞれの空間の良さをぶらさずに調整していくか。そんなところを意識していました。
これは普段の商品開発とは全く違う頭の使い方というか、ゼロベースで考えるのと違った楽しさがあったなと思います。


司会/松丘
池田さんが開発に携わる中で、「ここは絶対こだわりたい!」というポイントはありましたか?
◇池田
商品化に向けた図面を最初に見せてもらった時に、畳コーナーがかなり細かったです。そこは、もう少し広がり感が欲しいなとリクエストしました。何かを犠牲にしてでも、この畳コーナーの広さはこだわりました。来客時に布団をゆったり敷ける大きさは確保したいと議論をしました。
司会/松丘
畳コーナーは他にどんな使い方を想定している空間なのでしょうか?
◇池田
マルチに使ってほしい、という思いがあります。どちらかというと、大人が使ってほしいなと。パソコン作業もいいし、お風呂上がりにゆっくりするのもいい。来客があった時には部屋にもなる。いろんな形に使える、兼用できる部屋があってほしいなと思っていたので、改めてですけど、この畳コーナーはどうしても譲れないところだったんです。
司会/松丘
他に商品化にあたって整えていったところはありますか?
◇池田
南側のラインですね。K様邸は北玄関で、リビングは東に面していて、南側に畳コーナーという間取りだったので、規格住宅として商品化しようとなった時に、やっぱり南向きリビングがいいよねと。 テレビやソファの置き場所、収納の考え方を整理しながら、譲れるところ、譲れないところを話し合って間取りを決めていきました。
K様邸ではテレビ裏収納として使っていたところは、最終的にリビング収納という扱いになったのも、この話し合いの結果です。この商品化のプロセスは、やっぱり難しかったなと思います。


司会/松丘
こだわりの畳コーナーについて掘り下げたいと思います。今回の畳コーナーは、特徴的な構成になっていると思いますが、改めてどんな考えから生まれた空間なのでしょうか?
◇池田
お客様に「和室がほしいです」とよく言われるのですが、その時に「何に使うんですか?」と聞くと、子どもの遊び場にしたり、来客があった時に使えるようにしたい、とおっしゃるんですね。 それで、「来客って年に何回あるんですか?」と聞くと、まあそんなにないね……となることが実は多い。
だったら、普段使いができる空間として使っていく方がいいと思っています。
1211Fのベースプランは細長いLDKなので、建物自体の間口は広いけれど、リビングの開口って限定されたものになっています。そこで、オープンな畳コーナーをリビングの一角に取り込んだら、視線が抜けて広くなるんじゃないかな、という考えで畳コーナーを中央に持ってきました。そうすることで、リビングの延長のような空間として使えるかな、という考えでこのようにしました。
K様のお宅は、方角的にこの畳コーナーがないと南側からの採光が得られないので、そこが土地との相性というか、ここもきっかけのひとつだったところがあります。最終的な完成形、商品化にあたって、南側に向けたリビングを考えた時にも、二面採光が取れるのは大きいなと。視線の抜けによる空間の広がりや、土地にはめ込んだ時の配置の自由度も上がるかなと考えました。


司会/松丘
リビングに入った時の伸びやかな印象は、床の目地の効果も大きいと思います。一般的な床の貼り方とは少し違うと思いますが、ここもこだわりでしょうか?
◇池田
そうですね。エントランスからLDK、そして畳コーナーまですーっとつながっている雰囲気が、こちらの向きの方がより表現できます。裏動線の奥行感も合わせて演出できています。
それと、こだわりというか僕がいつも気にかけているのが、キッチンとダイニングテーブルをあえて離すことです。K様邸もそうですが、ここは人が通ってほしいなと。人が通ると同時に視線も通して、LDKに入った時の広がりが一層感じられると思います。


司会/松丘
今の話を聞くと、池田さんが他にこだわっているところがまだありそうな……!
池田
LDKに入るときに、1枚壁があるのですが、この壁が実は僕の中で重要だと思っています。 この壁がなくて開放的な感じだと、リビングへの扉を開けた瞬間に「リビングに入りました」という感じになります。でも、扉が一歩下がっていて、部屋に入ったときにキッチン横のこの壁があることで、見えない、隠してある状態。壁がワンクッションあることで、奥への広がりを期待させて入ってくるという効果があると思っています。同時に、裏動線からキッチン・リビングへの動線も確保できていので、うまく公の部分とプライベートな部分を分ける、絶妙な壁だと思います。
司会/松丘
すごい……!視線が抜けたり広がりがあればあるだけいい、というわけではないんですね。
池田
アイランドキッチンにしようと思ったら、多分できちゃうんですよ。この壁を無くしてしまえば。でも、部屋に入った瞬間にキッチンが丸見えだと、ちょっと奥ゆかしさが足りないというか、少し隠したいなって思うタイプで……。あえて隠すことで、広がりが助長される効果は期待できると思います。


前編はここまで。
後編ではどんな暮らしが実現するか、プランのこだわりについてお届けいたします。

